妙好人伝に関する文献案内

(2004年02月26日更新)

『妙好人伝』

仰誓による初篇から僧純による二〜五篇、象王による続編までを収めた『妙好人伝』は、永田文昌堂という京都の出版社から出ています。現代口語ではありませんが、江戸末期の言葉ですし、漢字にはすべてルビが振ってありますから、それほど読みづらくはないと思います。ただ、布教用として出版されつづけているものらしく、一般の書店にはあまり置いていないかもしれません。

そのほか、図書館に置いてある可能性が高いものとしては、『真宗史料集成』第10巻「法論と庶民教化」(柏原祐泉編、同朋舎、1978年)、『近世仏教の思想』(日本思想大系、柏原祐泉・藤井学校注、岩波書店、1973・1995年) に、一部が収められています。

妙好人伝・言行録

一般に「妙好人」というと、よく「讃岐の庄松」、「因幡の源佐」、「浅原才市」が紹介されますが、これは『妙好人伝』編纂よりも時代が下って明治〜昭和期に言行録が編まれたものです。『庄松ありのままの記』(清水順保、永田文昌堂、1923年)や、『妙好人因幡の源佐』(柳宗悦・衣笠一省編、百華苑、1960年)、『定本妙好人才市の歌』(楠恭、法蔵館、1988年)はやはり原文ですが、いずれも口語体なのでわかりやすいと思います。

三田源七という信者が19歳のときに生国の丹波国を出て各地の有名な信者や当時の真宗の名僧を訪れたさいの問答を記した、『信者めぐり』(宇野最勝・竹田順道編、大八木興文堂、1922年)という書物があります。これについては拙稿「妙好人伝編纂史再考」(1994年)でも、大正・昭和前期の妙好人言行録の特徴をあらわすものとして触れました。冒頭の『妙好人伝』と同様、現在は仏教布教書の専門店以外ではあまり目にできませんが、最近出版された楠恭『妙好人を語る』(NHKライブラリー、日本放送出版協会、2000年) にも、第5章「旅で出会った善知識」でとりあげられていました。

国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」で閲覧できる妙好人伝・妙好人言行録

2002年10月から、国立国会図書館が「近代デジタルライブラリー」と題して、明治期に刊行された図書をオンライン公開しています。URL: http://kindai.ndl.go.jp/img/

おすすめしたいのは、「詳細検索」です。ここではNDC分類でジャンルを選択してタイトルをブラウズすることができるので、だいたいどういう書籍が収録されているかが把握しやすくなっています。

私が確認したものでは以下の妙好人伝・妙好人言行録が収録されていました。直接リンクができないようなので、「検索」でたどってみてください。

そのほか妙好人を紹介している書籍

研究文献

6年前に論文を書くためにまとめたものと、自分の蔵書リストをもとにしていますので、現時点ではかなり古くなっており、また記載項目がまちまちになっています。いずれ更新したいと思います。なお、私の妙好人伝関連の論文等については、「これまでの研究成果」のほうをご覧ください。

単行本

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図書収録論文

(発表年代順)

雑誌論文

(発表年代順)

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Hiroyuki KUROSAKI <noir@st.rim.or.jp>