西村玲「〈研究ノート〉社会と個を支え得るのは何か―日本仏教の倫理をめぐって―」

(2019-04-10)

西村玲「〈研究ノート〉社会と個を支え得るのは何か―日本仏教の倫理をめぐって―」(『近代仏教』22号、2015年9月)を読む。

本論では、日本仏教の倫理をめぐって対峙する島薗進と末木文美士の議論を紹介しつつ、両者ともに「戦後民主主義世代からの最良の贈り物の一つ」と評価する。末木『反・仏教学―哲学 vs 倫理』(筑摩書房、2013年)を要約した次の一節を深く心に刻みたい。「第三部では、死者との出会い方を考える。死者は、我々の生活のすべての規範(法律や慣習、倫理や言葉など)を与える存在であり、我々は死者の贈与の上で生きている。ヒロシマやアウシュヴィッツの死者は、永遠に我々を責め続ける存在であり、死者は現世の倫理の源泉でもある。だから死者と共に生き、沈黙を通して語り続ける死者の声を聞こうとつとめることは、我々自身を支え、救うことでもある。」(54頁)

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