渥美公秀『災害ボランティア―新しい社会へのグループ・ダイナミックス』

(2014-04-05)

渥美公秀『災害ボランティア―新しい社会へのグループ・ダイナミックス』(弘文堂)を読む。

本書を貫いている社会構築主義的な視座は、懐かしいほどに馴染み深く、災害ボランティアについて指摘される「現実への逃避」、「秩序化」(マニュアル化、と言い換えてもいいか)、さらには「被災者抜きの救援」といった隘路も、そうだなあと納得させられる。

しかしそれ以上に共鳴したのは、第5章の、災害復興過程でのボランティアの役割に関するところ。ここで、災害復興論に死者の存在が欠けていたことを指摘し、いとうせいこうの小説『想像ラジオ』や、安藤泰至先生の研究などを参照して、多くの死者を召喚しつつなされる協働的実践に寄与することの意義が強調されている。

本書をもっと早く読んでいたら、この数ヶ月に書いたことや関わった実践なども、もう少し輪郭がはっきりしたものになっただろうに、と思った。

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