「宗教と社会」学会第17回学術大会

(2009-06-16)

「宗教と社会」学会

6月6・7日に創価大学で行われた「宗教と社会」学会第17回学術大会に参加した。前回につづき今回も、発表・セッションを聞く側であった。新型インフルエンザの影響が心配されたけれど、とても盛況だった。

1日目の個人発表。今井信治さんの鷲宮神社についての発表は、絵馬掛所の様子からとらえた参拝者側と神社側との関わり方の分析が面白かった。絵馬といえば昨年夏に横浜市歴史博物館が絵馬の展示をやっていたし、戦時期の絵馬を解読した Jeniffer Robertson, “Ema-gined Community: Votive Tablets (ema) and Strategic Ambivalence in Wartime Japan” (Asian Ethnology 67-1 (2008)) PDF も興味深く読んだところだったので、なんとなく絵馬の時代がきているような気がする。井上大介さんのルチャ・リブレについての発表を聞いたら、そういえば『映画で学ぶ現代宗教』に『グラン・マスクの男』(ジャン・レノ主演の、孤児院を運営するカトリック神父が覆面レスラーとして活躍する作品)が入っていない、と思った。

2日目のテーマセッションは、午前・午後ともぜひ参加したい内容が二つ並んだので、大変困った。午後の第1会場での宗教文化教育に関するセッションは、さまざまな学問分野から宗教文化への接点をさぐるというものだったが、とくに科学技術コミュニケーター養成に関する野原佳代子先生の発表が興味深かった。科学技術をめぐる専門家と素人の対話の促進にとって宗教文化はどう位置づけられるかという視点からのもので、東京工業大学での取り組みや、文部科学省科学技術政策研究所による調査の結果なども踏まえられ、とても貴重な提言が含まれていたように思う。科学と宗教の関係と言えば、生物進化論についても対立した(ステルレルニー『ドーキンスVSグールド』)、リチャード・ドーキンス(『神は妄想である』)とスティーヴン・ジェイ・グールド(『神と科学は共存できるか?』)の著作が近年あいついで邦訳されたこともあり(すみません積ん読です)、神話や多文化共生をめぐる問題と並んで、宗教文化を学ぶ現場に直結するビビッドな領域のように思った。

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